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【特集】ぼくらが小屋をつくる理由
2017年 5月26日

20,000人の声を集めてつくった、みんなのほしい小屋「bakken」(SuMiKaの小屋)

ぼくらが小屋をつくる理由

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SuMiKaはこれまで、「小屋展示場」や「小屋フェス」といったイベント開催やマーケットプレイス「小屋市場」の立ち上げと、新たな暮らし方としての小屋について、数多くの提案を行ってきました。

スタートから4年が経過し一般層への認知も広がってきた中で、この5月にSuMiKaオリジナルの小屋シリーズ「bakken(バッケン)」を発表。その理由や商品に込めた思い、今後の展望などについて企画担当の名取良樹と取締役の佐藤純一に聞きました。





イメージからリアルな提案へ

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写真左:佐藤純一 写真右:名取良樹

SuMiKaが「新たな暮らし方」として提案し続けている「小屋」は、タイニーハウスなどのムーブメントも背景に、住宅のあり方を捉え直すきっかけとなり、今では住む人の選択肢を広げる存在にもなっています。

しかし、佐藤はこの数年を振り返り、イベントの盛り上がりや相談数が増加する一方で、実際の建築には繋がらない状況が続いたと語ります。

僕らは水周りのない10平米以下の小屋を提案してきました。でもこれは住み手にかなり覚悟が必要なサイズだとわかったんです。別荘的な扱いだと余裕がある人だけの物になり、母屋的な扱いだと狭すぎて現実的ではない。働く所と住む所に加えての3拠点目にしてほしいというストーリーは美しいけれど、週末滞在でも2日は過ごすのに、水周りもない6畳一間に家族3人はやはり侘びしいものです。そうした実態が見えてくる中で、改めて小屋を捉え直し、実用に耐える商品を提案する段階が来ていると感じたのです(佐藤)

イベントでイメージを定着させる段階から、リアルな商品提案の段階へ。そこで、まずは本当にほしい小屋像を探るためのアンケートを行ったのです。参加者はのべ2万人。全体の20%が「小屋に興味がある」と回答し、その中心は子どもを持つ40代~50代の男女でした。





「本当にほしい小屋」とは?

アンケート回答者の要望から「小屋より少し広め」、「料理やシャワーの使える水周りがある」、「600万円台で購入可能」な、新たな小屋像が見えてきました。価格が今までの倍になっても、家族3人が快適に過ごせる空間が必要だということです。そこでサイズは、小屋より少し大きく一般住宅よりコンパクトな20平米と30平米に設定。実際に中に入ると「これで充分」と感じられる空間を追求しました。また小屋を捉え直すうちに、使う人と空間の関係性も変わってきたと名取は語ります。

今までの小屋は、『お父さんの趣味スペース』という感じで使う人が一人称でしたが、家族が単位に変わってきた。つまり、暮らしや利用方法を考える上でも、家族単位で成立する空間設計や設備が必要になったのです(名取)

他社で販売される小屋の多くは10平米以下。近いスタンスの小屋もありますが、小屋の機能を起点に開発されたのはまだbakkenのみと言えそうです。小屋としての販売時期は後発ながら、だからこそという視点が随所に活かされています。会話中にも出てきたサイズ感は、やはり大きなポイントでしょう。かつてSuMiKaが10平米以下の建造物を小屋と定義した理由は、一定の要件を満たすことで建築基準法上での確認申請が省略できるからでした。今は普通になりましたが、利点としては申請費用が抑えられるのみ。かかる費用や手間を考えれば、その縛りをなくしていいのではという新たな結論に至ったのです。

坪単価で考えると狭ければ狭いほど割高になります。逆に少し費用を上乗せしても快適な暮らしができる広さを選ぶという判断なのでしょうね。実際に10平米以下は選択されなかったわけですからね(佐藤)





家族向けにデザインされた新しい小屋のかたち

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bakken 30の内観。キッチンスペースの奥には洗面所、トイレ、シャワーブースがある

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bakken 30の内観。上の写真もそうだが、キッチンスペースとリビング、小屋の両サイドにロフトがある

具体化の工程では、アンケートで明らかになった価格帯と平米数、設備を第一条件として提示。さらに家族向けに断熱機能を強化し、住んだ時のうれしさなども感じるようデザインも意識しました。

基本構造は、無垢材をふんだんに使ったログハウスです。通常の70ミリ厚のログ材だと木造軸組建築より断熱性が下がるため、100ミリ厚にして補完しています。木材の収縮率などはあまり意識する必要はありませんが、ある程度のメンテナンス作業は、住まいの楽しみとして捉えていただければと(名取)

間取りは、共有スペースを重視したワンルーム。「bakken 30」では3畳のロフトを2カ所設置し個別空間を確保、2LDK的にも捉えられる空間づくりを実現しました。こうした住む人に委ねる余白の残し方には、SuMiKaが「家の中の小屋」などから得たノウハウも含まれていると言えるでしょう。

一般住宅の間口ですが奥行はかなり薄いので、入ると写真以上にコンパクトだと思います。でも暮らす場所としては、必要十分に感じていただけるはずです(佐藤)

また南北の軒がせり出す独特なデザインを採用しているため、延床面積は30平米ですが実際の土地は60平米必要です。

両サイドの軒下にポーチとしての空間ができるデザインです。いわゆる“アウトドアリビング”として、住居プラスアルファという屋内外のつながりが楽しめます。カルフォルニアスタイルの住宅に必ずあるカバードポーチと同じで、そこで何ができるかと考える楽しみを感じてもらえるつくりになっています(名取)

bakkenは、SuMiKaの住宅サービス「スマートメイド」にも対応しているため、外壁のカラーリングや内装の仕上げなどを好みに合わせて選ぶことができます。嗜好性、趣味性の高い商品だけに、手持ちの家具を置いた様子や生活した様子が想像できるデザインにできるようにとの思いがあるのです。





施工・販売ネットワークの強化が次の扉を開く

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小屋「bakken 30」の外にはオプションの薪置き場も

このbakkenの商品化を実現する上で、住宅関連コンサルティング会社の「住宅アカデメイア」との協業が大きな力になったと佐藤は語ります。同社は各住宅メーカーの商品のキット化や資材確保、提供や施工を行う工務店ネットワークの整備などの仕組みづくりに長けた企業です。彼らが持つ全国規模の物流ネットワークや量産体制を得て、SuMiKaは新たな第一歩を踏み出すこととなったわけです。

インターネットだけ、ローカルだけで別々に展開してもお客様に満足してもらうことは難しい。僕らはインターネットで情報をグローバルレベルで伝えられる利点があるから、そこに全国で建てられるネットワークが構築できればベストだねと。そこでbakkenの企画立ち上げのタイミングで、小屋フェスから繋がりのあった住宅アカデメイアさんとの協力体制を進めたのです(佐藤)

bakkenは、全国どこででもリーズナブルに建てられるような規格化がされています。ですが、気候や土地によっては、必ずしもそのまま建築できるとは限りません。

そこでネットワークに所属する工務店さんの力が活きてきます。地元ならではの環境や土地の知見を元に施工してくださるはずなので、僕らも安心してお任せできるんです。将来的には、工務店さん独自のアレンジの提案をしてもらうなどの展開もアリかなと考えています(佐藤)

まだ未知数ながら、bakkenを媒介にした工務店ネットワークへの展開の可能性も考えられると言えそうです。





オンラインとリアルプレイスで世に判断を問う

新たに開発したサイズ感と設備の小屋、自分たちの立てたひとつの仮説を出して世の反応を問うてみたいと語る佐藤。オンラインチャンネルだけでなく「SHARES ラグーナ蒲郡」というリアルな展示場も用意したことで、その判断もこの数カ月の間にできるだろうと予測しています。ログハウスや小屋は、気候のよい春から秋にかけて注目される商材。5月中旬のスマートメイドでの販売開始に併せ、さまざまなストーリーとともにアピールすることも考えています。

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GW終わりの2日間に、SuMiKaのFacebookで紹介させていただいたのですが、ビジネスモードで伝えたにも関わらず2日で数十件の問い合わせがあったので驚きました。今までにない手応えを感じたので、今後も積極的に展開していきたいですね(佐藤)

暮らしのミニマル化が進む今、別荘もゴージャスなものはそぐわなくなってきました。非日常感を楽しむ場所として、最低限の機能とデザインを兼ね備えたbakkenが選ばれるようになってくれたら嬉しいですね(名取)

そして、豪華な建物が普通だった土地に、小さなbakkenが並ぶ様子はきっと楽しいはず、とも。全国展開のネットワークに乗り、新たな形で広がっていくであろうbakken。「本当にほしい小屋」をめざした商品が受け入れられるかどうか、その挑戦は始まったばかりです。

Text 木村早苗
Photo(建物) KEICO PHOTOGRAPHY

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