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記事作成・更新日: 2021年 8月10日

【実例付き】第一種低層住居専用地域ってどんな地域?どんな人にオススメ?

“第一種低層住宅専用地域”という言葉を耳にしたことはあるでしょうか。

第一種低層住宅専用地域がどのような地域であるかは、“都市計画法”で定められていますが、具体的にどういった地域であるのか、建築物を建てるにあたってどのような制限があるのか、詳細を知らない人も多いのではないでしょうか?

そこで今回は、“第一種低層住宅専用地域”とはどのような地域なのか、また、どのような建築事例があるのかご紹介します。

第一種低層住居専用地域とは?

・建造物には厳しい制限がある

第一種低層住宅専用地域とは、都市計画法という法律で「低層住宅の良好な環境を守るための地域」と定義されている用途地域のひとつです。

用途には制限が設けられており、住宅とそれに付随する小規模店舗や事務所などは認められますが、それ以外の用途、目的の建物に関しては建築を認められません。

また、10~12mまでという高さの制限や、敷地に対して30~60%という厳しい建ぺい率、50~200%までの容積率、日影規制などさまざまな制限が定められています。

そのため、高層マンションやビルなど、土地にゆとりのない場合は大規模な建物が建築できない地域となっています。その反面、高い建物による近隣地域への日影が作られないため、日照が確保され、採光について心配する必要がなく、日当たりがよく快適な住環境が保障されます。

建ぺい率の制限において、敷地に余裕がなければ大きな建物が建築できないため、建物同士が密集することもなく、隣地とある程度の距離を保てるため、プライバシーの確保も可能です。

・住みやすさが魅力

一定以上の大規模商業施設がつくられることもなく、将来的に工場なども建設されないことから、閑静な住環境を保つことができ、また、環境の変化にも心配がいりません。

住みやすい理想的な環境が保障された地域であるため、仮にご自身の土地を売却する際となっても、大きな価格変動が起こりにくいのも、第一種低層住居専用地域の魅力といえます。

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・制限の厳しさはデメリットにもなる

閑静な住宅環境としてメリットも多い第一種低層住宅専用地域ですが、その制限の厳しさはデメリットともなり得ます。

まず、一般的な地域より建ぺい率と容積率が厳しく、日影規制も伴うため、敷地の面積に対して建物は小規模なものとなります。また、用途制限区域のため、坪単価が低く感じられますが、トータルの土地費用は高くなるケースも見受けられます。

用途制限があるため、大型商業施設や病院などがなく利便性はよくありません。教育施設の建設は認められていますが、高さの制限があるため実際には建設しづらく、別の地域へ通学する必要があります。

制限も多い第一種低層住宅専用地域ですが、それもすべて良好な住環境を保つためです。資産価値としても高い地域であり、居住環境の良さから人気の高い地域となっているケースもあります。快適な居住環境を求めて、第一種低層住宅専用地域での土地探しや新築工事を検討してみてはいかがでしょうか。

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「第一種低層住居専用地域」の建築事例紹介

これまで「第一種低層住居専用地域」について説明してきましたが、これからはどのような建築事例があるのか紹介してきます。

どの建築事例においても、採光に優れ、魅力的な物件となっています。

精華町の家

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建物の南側には公園が隣接し、日光をたっぷりと取り入れることができる住宅となっています。

外壁にはシラス台地から採取される「シラス」を原料とした「そとん壁」を使用しており、自然素材でありながら完全防水を実現しています。

白色系のそとん壁、淡色のそとん壁、床板の唐松と揃えた板張りをアクセントとした外観となっており、LDKは漆喰塗りを基本に壁面を仕上げ、自然素材の織物壁紙などを使用したこだわりのある仕様を実現しています。

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キッチン・洗面・浴室は左官材料のモールテックス仕上げ、木部の塗装には白を基調としながら、さまざまな素材をバランスよくまとめた、高いデザイン性の内装となっています。

ファミリークローゼットやデッドスペース、キッズリビングなど、住宅の隙間空間を新しい使用用途として配置し、収納部分もしっかりと確保した、住みやすく開放的な空間を実現しています。


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鋭角角地に建つ半地下付コンクリート住宅

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横浜の中心観光地近く、坂道に面した敷地に建つ半地下付コンクリート住宅です。

歩行者の往来が多い桜並木の上り坂と、細く傾斜のきつい下り坂の三叉路に挟まれた、クサビ型の変形敷地に建築されており、さらに風致地区でもあるため、2つの道路からの大きな外壁後退が求められています。

また、第一種低層住宅専用地域のため、高さの制限もあり、厳しい条件が重なる中で3層のコンクリート打放し住宅を、可能な限りボリュームをもたせる要件を実現させています。

建物の形状は、その条件から敷地の形状をそのままセットバックさせたクサビ型となり、部屋割りにおいては、半地下の寝室、1階の水回りとサロン、2階のLDK、屋上の搭屋とテラスという構成とし、最大限の床面積を確保しています。

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杉本実型枠コンクリート打放しの木目を活かしながらマッシブな表情を外壁に採用、周囲に広がる丘陵の緑や、街の灯り、街路樹の桜へと眺望を求める開口部を、普通とは異なる視点から見渡すことが可能です。

最も目立つ道路交差部の形状は、そのまま鋭角の硬いコンクリート外壁のエッジを立ち上げ、その象徴的なデザインが建物の強い魅力となっています。


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緑と眺望を楽しむ長屋建て住宅

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第一種低層住宅専用地域という厳しい建築制限の中、天空率による道路斜線緩和や、地下の容積率緩和などを利用し計画した、賃貸付きの二世帯住宅です。

象徴的な大開口は、SE構法の特徴を最大限に活かし、南側に面した隣家の豊かな緑の景観を楽しむことができる眺望となっています。

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建築基準法的には、南北の道路からそれぞれの住戸(4住戸)へ直接アプローチが可能な、「長屋建て」住宅となっており、地下・鉄筋コンクリート造、1階+地上木造3階建ての構造となっています。

二世帯住宅部分は玄関・キッチン・水回りをそれぞれ別々に配した、完全分離型として計画されています。


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「第一種低層住宅専用地域」とは、どのような地域か、また、どのような建築事例があるかご紹介しました。

制限が多いのも事実ですが、充分に魅力もあります。ぜひ第一種低層住宅専用地域での家づくりを検討してみてください。


文:ばんます(二級建築士)



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