■家づくりについての考え方
「住まい」というものを考えるとき、最初に雨露をしのぐ屋根や、くつろぐ床がありというごく素朴なものが始まりだったのでしょう。しかし、人間の社会の進歩と変化とともに住まいは合理化され、機能は複雑化してきました。生活するうえで現代の住宅は便利で快適な環境を、確かに与えてくれてはいますが、「住まうことの楽しさや、やすらぎ」を本当に、そこで得ることができているのでしょうか?「住まう」ということは人間も含め地球上全ての生物と共存しながら生活することによって本当のやすらぎがあり、楽しさがあるのではないでしょうか。
そして人・水・土・木・風・光・音などのそれぞれの関わり方を考え、形として表現されたものが住宅だと思います。
住宅の設計を行う場合、このようなことを考えながら、その時、出会ったこと、感じたこと、与えられた条件などを、依頼者と話しあいながら、時には、その土地や、使う素材との対話を通して一つの形にしてゆきます。
そのような行為が楽しくもあり、また、出来上がった住宅が、季節の移り変わり、家族のライフスタイルの変化の中で、その時々の表情をみせながら美しく変容してゆくことを願いながら、また、その手助けになりたいと常に思い続けています。
■設計・監理についての考え方
”ありよう”と”なりよう”
施主と打ち合わせを行い設計図を完成させた後、工務店の選定を経て、工事にはいりますが、設計図は設計者が施主の意向などを汲みとりそれを図面に”ありよう”を示したに過ぎません。
それに対して施工者は、その図面を元に”なりよう”として形にしてゆくことになります。実際に工事が始まってみると、図面上で充分に伝えきれなかった部分がでてきます。そういった伝えきれなかった部分を、設計者は工事期間中に現場に足を運び、また施主も、平面的な図面から、具体化した形を確認にし修正を加え施工者に伝えていくことになります。そのような、施主、設計者、施工者の共同作業が工事監理の一つの形と考えています。
”品質の保持とコスト管理”
工事監理をするもう一つの大切な役割として、工事に使用する材料や、工法の品質を保持するという役割があります。
工事項目ごとの注意事項、使用する材料等の品質の検査と確認など、その建物が、完成後も品質が維持できるように工事が適切に行われているかということに留意しています。また、施工中、変更した内容のコストへの影響や、図面に記載された材料などが正しく使用されているかなども工事監理を行う上での大切な仕事と考えています。