【メッセージ】
住むということは、記憶や想い出、出来事の集積ではないでしょうか。家族の距離の取り方や、光、風などとの関わり、そして、回りの環境との関係のつくり方などから、豊かな記憶を紡ぎ出す家をつくって行きたいと思っています。
家づくりにおいて特に配慮していることが、いくつかあります。
一つ目は、ある限られた面積の中に、どうやって心理的、視覚的な広がりをつくり出すかということ。家族は多いが、面積の小さな住宅でも、心理的、視覚的な広がりの取り方によって、面積は同じなのに、快適さは変わって来ます。
二つ目は、風景や環境をどうやって取り込むかということ。家の立っている環境と無関係な家をつくるのではなく、その場所でしか成立しないような家を、そこから見える風景やまわりの環境を尊重し、家の一部に取り込みながらつくることで、他の場所ではない、この場所でしか生まれないような家が立ち現れます。
三つ目は、回りの街並景観などとのつながり方。回りの街並の特長を分析した上で、街並から突出せず、しかし、よく観察すると、微妙な雰囲気の違いにより、回りから自立しているような建築をデザインするように心掛けています。
建築の設計というのは、施主との共同作業です。同じ場所、同じ面積の住宅でも、施主が違えば、現れる建築の姿も変わって来ます。さまざまな地域、さまざまな用途、そして、さまざまな施主の方と出会い、建築をつくり上げて行きたい、と思っております。
ふつうの敷地、一般的な暮らし方をする方も、大歓迎ですし、変な敷地、変わった住み方、個性的な方も、声を掛けてください。
すてきな建築をつくりましょう。
【プロフィール】
略歴
1985 早稲田大学大学院理工学部建築学科修士課程修了
1985-89原広司+アトリエ・ファイ建築研究所
1990 都市・建築計画研究所
1990 空間計画 VOYAGERを共同で設立
1999 フューチャースケープ建築設計事務所設立 現在に至る
2001-2003 早稲田大学理工学部非常勤講師
2007-2008、2014- 日本工業大学工学部建築学科非常勤講師
2002 早稲田大学都市地域研究所 客員研究員
主な作品
1993 Circulation
1995 ファーレ立川地区共同溝出入口上屋
1997 White Blue Black
2000 妻有のコテージ(節黒城キャンプ場コテージC)、光の館(ジェームス・タレルと共同)
2002 相原の住宅、光の館監理棟、炭焼工房朱雀門
2003 目黒の住宅
2004 前原の若い櫻(小金井の住宅)、天童木工PLY
2005 新潟の住宅
2006 旧家の増築、JIGSAW
2008 MEDERU(新潟の自動車工場)、2焦点ハウス
2009 武蔵小山の住宅
2010 長岡の住宅、44:63あざみ野の住宅
2013 市川のリノベーション、トイレの家
受賞歴など
1989 横浜アーバンデザイン国際設計競技 入選
2000 グッドデザイン賞、北陸建築文化賞、「越後妻有トリエンナーレ大地の芸術祭」参加建築家
2002 展覧会「45under45(45歳以下の日本の若手建築家45人展)」選出(ウィーンーオーストリア、他ヨーロッパ巡回、日本)
2002 別大拠点コンペティションファイナリスト
2003 カナダグリーンデザイン賞
2004 Dedalo Minosse賞佳作
2005 越後妻有トリエンナーレ大地の芸術祭2006 公募 選出
2007 リフォーム・リニューアルコンテスト優秀賞
2008 東京建築賞優秀賞
2009 輪島市黒島地区復興まちづくりコンペ最優秀賞
2009 展覧会「対しょ点ー地球の反対側:アルゼンチンの視点から見た日本の現代建築」選出(ブエノスアイレスーアルゼンチン、アトランターアメリカ合衆国)
2009 World Architecture Award(スペイン)ショートリスト選出
2012 住まいの環境デザイン・アワード2012優秀賞
2013 北陸建築文化賞、「瀬戸内国際芸術祭2013」参加建築家、展覧会「未来を担う美術家たち 建築×アート Domani・明日展」(国立新美術館)
2014「かしこい家」セレクション選出