限られた狭小地の空間に、思い出と涼感を表現した京町家。
外観からは蔵が三棟あるように見え、高いコールテン鋼の塀と駒寄が外部からの視線を遮る役目をしているにも関わらず、白漆喰壁とのコントラストが斬新な印象を与えてくれます。
格子戸を一歩跨げばモダンな京町家の風情を感じます。
建物奥へと歩みを進めると中央の渡り廊下を中心に、左右五つの坪庭が目に入ります。
庭の上部は吹抜、奥のキッチンまで風が通るよう、暗く成りがちな京都の住宅事情を見事にクリアされたプランニングと云えましょう。
限られた空間の中、建築士のコンセプトとクライアントの要望をいかに造園として表現するかが作庭の課題となりました。
石材はどれも解体時に取り置きしておいた物で、思い入れの多い灯籠、手水鉢、景石、子供の頃よく乗って遊んだ沓脱石。
これらをいかに狭小空間に生かせるか、この作品を見れば納得していただけるものと思います。
植栽にはヤマモミジ、ジューンベリー、ミツバツツジ、ツバキ、クロモジ、アオダモ、ライラック、どれも新梢が美しく涼感のある里山の樹木を選び、暗くならないよう意識しながら作庭しました。
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