これは、80代の建主が余生を過ごすための建物である。
高齢ではあるが熱意のある建主の要望は、この場所で余生を過ごしながら地域活動の場としてスペースを提供したいとのことであった。
さらに、将来にわたって活用されることを望んだ。
敷地は周辺住民が高齢化している郊外の住宅街に位置し、南北で道路に接道している。当初建っていた建物を地域活動に提供していたこともあり、機能として住宅と貸しスペースを設定した。この2つの機能をいかに関係付けながら周辺地域へ開いていくかを考えた。
敷地の特性から南北の道路を繋ぐ通り庭を設け、その両側に住宅と貸しスペースを配置した。これによりそれぞれが適度な距離感で分けられるとともに、南北にアプローチが設けられ敷地外へ開かれるようになった。
通り庭は、共有スペースとして機能し貸しスペースの延長空間としても使用できるようになっている。また、通り庭側に設けたそれぞれの開口部をずらして配置することにより、プライバシーを保ちながら高齢の建主の様子を貸しスペースから見守ることができるようになっている。現在、建主自身が管理運営しているが、将来的に住宅部分は賃貸もしくは貸しスペースとして引継いでいくことを予定している。
この建物は建主の意思の種が、将来、芽生え根付いて行くことを望んでいる。
施主様が高齢であり、将来的に建物を継承するため、2世帯住宅として対応できるようになっている。
株式会社 渡辺工務店
有限会社 蔵工房設計事務所 木戸 岩夫
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