子世帯6人(夫婦+4姉妹)と親世帯3人(妻の両親+妹)の棲まいです。
難病により24時間介護を要する妹さんや高齢のご両親の為、都内マンションからご両親の馴染みの地である日立市に居を移し、これを機に親子同居を開始されます。
クライアント家族が求めたのは、「いわゆる二世帯住宅ではない、妹を中心に家族みんなが繋がる家」でした。
敷地は、JR日立駅より徒歩15分程の住宅地に位置します。
はじめて現地を訪ねた際、道中で日立製作所をはじめとする工場を多く見かけました。敷地の隣にも中規模の工場が建っており、切妻屋根の工場建築は、この地域では実に日常的な風景であり、この街を象徴する‘カタチ’であると感じました。
これらを踏まえ、外出が難しい妹さんが屋内に居ながらも樹々の緑や青い空などの屋外的要素をあじわえ、元気な4姉妹が家中を走り回れる、余計な隔てのない工場のような空間を提案しました。
1階は介護の拠点となる妹さんのスペースを中心に、その両脇には常時開放の大型引戸を介してご両親のスペースと家族が集う共有スペースを配置。2階は適所に設けた3つの吹抜を介して1階とも繋がる子世帯のスペースです。
大所帯に相応しい気積を確保すべく、矩勾配の切妻屋根とし小屋組を排除した方舟は、工場建築のようでもあり合掌づくりのようでもある、家族を包むシェルターです。
明るく仲のよいこの家族らしい、ポジティブで風通しのよい棲家となりました。
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