大阪府南部の住宅密集地に建つ個人住宅。大小様々な顔をした家々が四周をぐるりと取り囲み、N邸の全景を見渡す視点はどこにも存在しない。
高さを抑えた鉄筋コンクリート造のヴォリューム(寝室群)を1階基壇とし、その上部に木造の軽量フレーム(居間・食堂・アトリエ)を載せる。重く閉じた1階に対し、大きな気積に対して多角的に自然光を取り入れた開放的な2階が対比的に積層する(大地に根付いたコンクリート製の宿り木と、その上に載る木製の巣箱)。
住人は陽光の出入りに合わせて1階と2階を往復する。幕の開閉に合わせて奈落と舞台を行き来する役者のように、様々な時間の流れを感知しながら生活を営み続ける。
竣工 :2024年
場所 :大阪府堺市
設計 :高橋功治アトリエ、株式会社SDIイドタセイイチアトリエ
施工 :大幸綜合建設株式会社
撮影 :多田ユウコ