広めの土地にこだわった小さな家を建てることを希望していたクライアント。この土地に出会い、周囲の環境を気に入られて土地を購入されたところから今回のプロジェクトはスタートしました。
1.5mほどの高低差がある土地の場合、擁壁を設けた上に建築することがセオリーだと思いますが、それでは擁壁に費用がかかり、建物にかける費用が減ってしまうので、法面(斜面)をつくってブロックにて土留めをすることでコストダウンを図りました。
そして、その高低差部分に建物を跳ね出すことで、車庫に利用できる空間やアプローチ屋根としての空間と、独特のファサードを形成しました。内部ではスキップフロアによる床レベルの変化に加え、天井高も極端に変化させることで、空間にメリハリを作り、体感的に区切ることや、体感的なつながりが持てるような平面計画としています。また、リビングから玄関と2階のトップライトを視覚的にも一体感が持てるようにしたり、バルコニーが付属するような南側の寝室とするのではなく、北側に配置し山の景色を楽しめるようにしたりと、視覚的にも落ち着けるようにしているのも大きな特徴です。
独特の構造を外壁で隠したことで、外からは中が想像しづらい不思議な形状のオウチであることや、クライアント(奥様)自らが床や壁、天井を塗装し、照明器具も部品から取り寄せ自作(ご主人)したり、はたまたタイルも自ら今後貼るつもりだったりと、ご夫婦にとっていつまでも遊べるおもちゃ箱のようなオウチということで「black toy」 と名付けました。独特のスイッチの配置もクライアントのおもちゃの一部です。今後、どのように変化するのかを楽しみにしながらお付き合いできればと思います。
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