神奈川県相模原市の麻溝台に建つこの家は、70代夫婦と娘2人のための住宅の建替えである。
西面道路で南北には住宅が建ち、東には畑を介して“木もれびの森”と呼ばれる散歩道がある。施主の要望は、家族で集まれるスペースは小さくても良いので、それぞれの独立した部屋が欲しいということであった。空間の繋がりよりは、なるべくプライバシーの守られたそれぞれの個室が求められた。私達のエゴであるかもしれないが、そこで暮らす家族がどこかで繋がっていてもらいたい。そんな想いから私達は、唯一開かれた東面に大きな開口部を作り、そこから入る風や空気を吹き抜けを介して家全体に循環させ、各々が自分の場所で好きな時間を過ごしながらも、建物全体でひとつの空気が流れているようなそんな建物を目指した。また、東の窓の外にはウッドデッキを配置し、その目隠しの高さを調整する事で、畑で作業をする人とは視線が合わずに、室内からはその先にある森と空だけが映るように計画した。既存の建物は南に開いていたため、竣工後は『自分の住む場所からこんな景色が見えるのは知らなかった。窓から見える森の紅葉や、空を楽しんでいる』との言葉を頂けた。
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