建物は南側を大きく開けて、裏山に沿うようにくの字に配置している。周囲からの視線を遮るように壁を立て、その上にハイサイドライトを設け、まるで屋根だけがふわっと浮いているように計画している。内部は大きなワンルームで、トイレや浴室、収納といったプライベートな機能だけを箱に格納し、分棟状に配置している。この箱と林立する柱によってつくられる奥行きのあるワンルームは広場のようなラフなスペースになっていて、住み手の自由なふるまいを受け入れてくれる。
室内に立つ柱は一間ピッチに立てられているが、建築であると同時に人に近い家具のような密度と佇まいになるように、90mm角としている。この90mm角の柱が3.5mの長さで林立し、屋根を支えている。細長い柱は一般的な木造建築の規則を踏襲して建てられているが、柱の数や密度、そして3.5mというスケール間が外部の緑と連続して、人工と自然の間の森のような空間になっている。