□計画の概要
1.計画敷地は1階レベルにおいて冬場13時以降隣家の影によって採光が無くなり、在宅の多い親世帯には不向きな条件なので、できるだけ明るく暖かな住まいを提供したいと考えました。日陰図をチェックし採光上有利になる建物配置を検討し、建物南面にライトウェルを設けることで1階居室にも自然な明るさを導き、通風・換気にも有効に作用するよう計画しました。
2.2階の居室は、隣家の窓からの視線が気になると考え、高窓から自然光が降り注ぐような空間構成を提案しました。DKには5畳のルーフテラスを併設し、サッシを全開にすれば一体的にオープン利用できるように計画しました。
3.両世帯ともLDKは1ルームとして計画し、使い勝手を優先させたフレキシブルなプランニングを提案しました。床は桧の無垢材フローリング、壁は本漆喰塗り仕上げとしました。
子世帯の玄関には、自転車を置くスペースと、トレーニングや整備ができるスペースを設けました。
4.完全分離型2世帯住宅として電気、ガス、給排水、換気設備等、また音、熱環境に対して個別の世帯としての計画しました。上階の世帯は賃貸アパートとしても転用できるよう両世帯の遮音についても最大限配慮しました。
□構造について
1.構造計算(許容応力度計算)によって基礎、各部材、接合部などを設計しています。
・構造強度は建築基準法の定める応力の1.5倍以上を確保しています。
・地震時に建物本体がねじれ変形を起こさないように各階の耐力壁(構造壁)の平面配置をバランスよく計画し、偏心率が0.3以下になるよう計画しました。また、地震時に建物本体の構造躯体に著しい損傷が生じないように、層間変形角(地震による水平変位量/建物の高さ)が1/150以下になることを計算によって確認しています。
・1、2階の変形率の差が大きいと弱い階に負担がかかるので立面における耐力壁(構造壁)をバランスよくし、剛性率が0.6以上になるよう計画しました。
2.建設地は千葉県の液状化危険区域のAランクに指定されている場所です。
大地震時に地盤が液状化という現象を生じさせた場合、建物やインフラに大きな損傷を与えます。それを未然に防ぐには地盤を強固に改良したりする工事をすることになりますが、戸建て住宅レベルでは費用が膨大になり、ハウスメーカーでも特段の対策を講じることは希です。今回の計画では費用対効果をどのあたりに線引きするか判断するために、ボーリング標準貫入試験を実施しました。その試験で得られた土の試料により物理的性質試験から液状化の判定を行った結果、木造住宅の建設における地盤としてはべた基礎で十分との判定を得ました。
地盤改良も必要なく余分なコストを掛けず済み、安心を得た上で設計を進めることができました。
□バリアフリー対応
バリアフリーの基本となる要素は段差、スペース、補助などですが、親世帯エリアは玄関の上がり框を除いて全てフラットの床を実現しました。玄関までのアプローチはスロープを計画することで、将来足腰が弱ったときのためにも対応でき、いざとなれば車いすでの出入りも可能にしました。これと同様の配慮を中庭にも行い、DKや寝室から容易に出入りできるよう設計しました。
更に玄関ポーチ、玄関、廊下など必要な広さを設け、要所に手すりを設置しています。
□次世代省エネ基準適合の高断熱・高気密+床下暖房
この省エネ基準は、住宅性能表示の4に該当し、エネルギーロスが極めて少ない仕様で、環境にも家計にも優しいの住まいです。
1階に設置した床下暖房(エナーテック社システム)は床下全面に電線が引き込まれたコンクリートスラブに深夜電力を利用して蓄熱。その暖められたコンクリートからの放熱を利用するもので雪国から実績を上げてきたシステムです。一般的な床暖房では得ることのできない快適な室内環境、温度のバリアフリー化を実現しました。
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