『都会に森が来た』それは、埼玉県の都幾川の森から伐り出した木材が都会の真ん中で建てられていく姿を見て、建前の日に建て主さんがつぶやいた言葉でした。そして、最後には塀も木とすることで都会の中に豊かな木の空間が実現しました。建て主さんは、建築家の工夫でこんな空間が実現できることにびっくりし、大変満足いただきました。そして、引っ越して最初の夏を迎えたのですが、今度は建て主さんが自分の手で西側のウッドデッキに緑のカーテンをつくり出しました。ゴーヤ、ヘチマ、キュウリによる緑のカーテンです。つくり方は建て主さんがNPOの講習会に行って自分で勉強し、研究した初めての手作り作品です。どうぞ、写真をご覧下さい。立派に出来ているでしょ。
さて、次は設計に関する紹介です。この家族構成は、両親2人と息子夫婦の4人ですが、工事中に子供が一人増える事が解りました。そして、設計に対する主な要望は、
① 出来るだけ陽当たりを良くして明るい部屋で暮らしたい。②新防火地域だけど木の家に暮らしたい。という事でした。
そこで①に対し、私が提案した間取りは、家族の集まる場所であるリビングダイニングを敷地の北側に寄せることでした。最初、そのプランを見た両親は「何で南に配置しないのか、と問いかけました。他に頼んでいたメーカーさんや工務店さんは皆、南にLDKを配置しているのに、と。そこで、次のように説明しました。敷地は中野区の住宅密集地です。残念ながら敷地の南半分は半年以上日が当たりません。そこで、LDKを陽当たりの良い敷地の北側に寄せ、その前を玄関ポーチを兼ねた中庭とする事で日中の一定時間だけは直接日が当たるようにしました、と。結果的にこれには施主は驚き、喜び、納得していただき、その通り完成しています。
次の②の新防火地域で木の家にしたいと言う要望は、①同様にハウスメーカーや工務店から声を揃えて、新防火地域なので、木の柱や梁を室内に見せる事は出来ませんと言われていたからです。それに対し、私はちょっと費用がかかるけど出来ますよ。と答えました。これも①同様に、施主は大いに喜んでくれました。その方法は専門的なので詳しくは説明しませんが、木はある程度燃えると表面が炭になってしまい、それ以上は燃えづらくなります。その性質を利用して、柱や梁の表面が炭になる事を前提とした設計をする事で火事に耐える家をつくる方法です。
皆さんにも、是非自分らしい家づくりを建築家と一緒に創り上げていただきたいと願います。
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