Luce(ルーチェ)イタリア語で「光」を意味する。白を基調にした内外装と「コ」の字型平面プランにより光が廻り巡る住宅である。東京は成城の住宅地に建つ個人住宅。施主は不動産のプロである。建築にも拘りが有りプランニングの段階から設計の方向性ははっきりしていた。マンション住まいであった施主は子供がのびのびと遊べる中庭を切望しており、明るく開放的でありながらプライバシーが守られた空間にする事であった。
周辺環境に対しては閉じて自然に対して開くという現代の都市型住宅における住空間の一つの回答ではあるが、開閉度合の強弱により印象は大きく変わる。言葉で言うほど簡単ではないのが建築である。結果としては成城という土地柄でもあまり印象の良く無い周辺環境を遮る事と庭のプライバシーを強く守る為に入念に検討した高さの壁で囲う事にした。真っ白な外壁に車が2台停められる引き戸とオートロックを施した門扉を同じ木目にして堂々とした住宅らしさを感じさせる囲いである。自然に対して南道路に面する敷地は限られた間口いっぱいに光を取り入れる事を考えるが、実際には駐車場・玄関やアプローチが必要でありフラットな南面外壁を構築すると狭さが逆に強調されてしまう。そこで建物を南に口が開いたコの字型平面として駐車場を程よく視線から遮り、アプローチと庭が一体となった前庭を配置。そして敷地地盤の高低差を利用したポーチ空間で内外の繋がりを緩やかにした。このポーチ空間が建物に食い込んでいる事により屋外からのアプローチに奥行を与え豊かさが増し、屋内からは南に正対するだけではなく南東、南西への斜めの視線が自然に感じられるようなシークエンスをもたらしている。さらにはポーチ床に白い大判タイルを貼り光の反射装置とした事と同じタイルを屋内の階段室床にも施した事によりポーチが屋内に強く取り込まれ広く開放的な感覚になる事を狙っている。2階の各室もこのポーチ空間上部に繋がり良質な採光通風が享受出来る配置とし、洗面、浴室も明るく開放感がある空間となった。
白いスタイリッシュな住まいであるが、まだ幼い子供がいる家族である。物が溢れ家族の記憶が刻まれて、より空間の豊かさが増幅する家を目指して設計した家である。
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