和歌山市に建つ木造平屋建ての住宅です。
この住宅は夫婦と3人の子供の為に設計されました。
敷地は、開発とともに広がっていった市街地が、周辺部で農地(水田)とせめぎ合っている境界に位置し、かつての水田を宅地開発した場所です。南西側には大門川が流れており、川沿いは桜並木になっています。
施主は平屋の建物を要望しました。
建物は、敷地形状にならって中庭を囲むようにジグザクに配置しました。
「プライバシーを確保した上で、如何に自然光を室内に取り込むのか?」、
「建物の外形と内部空間が一体となった、美しい光の取り入れ方とはどういうものか?」を考えました。
プライバシーの確保から、道路側のアイレベルは最小限の窓の開口にし、中庭に向けて大きな窓を設けましたが、その中庭も高い壁によって完全に周囲からは閉ざされています。
外観上、特徴的なノコギリ屋根の下には、その形のままの空間が広がっており、彫刻的な空間が連続していきます。
内部空間は、ディテールの表現が最小限にとどめられ、広幅のアッシュ(タモ)の床と白い壁と天井にハイサイドライトからの陽射しが降り注ぎます。
季節により太陽の南中高度が変わるので、冬にはハイサイドライトからの陽射しが天井面に反射し、レフ板の様に室内を照らします。
玄関から廊下、リビング、ダイニング、子供室へと中庭を横に見ながら、空間が蛇行して連続していきます。
床から斜めに付き出した出窓からは、春には大門川沿いに咲く桜を望むことができます。
洗面脱衣室にもハイサイドライトが設けられ、ガラスのスクリーンを通して浴室まで陽射しが降り注ぎます。
工業建築物を思わせるようなノコギリ屋根のこの住宅は、白い彫刻の様です。
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