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桜坂の家の建築事例写真
桜坂の家
K2-DESIGN・ARCHITECT&ASSOCIATES
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福岡市中央区博多。都市の機能と豊かな自然に恵まれた土地である。この九州地方最大の都市~JR博多駅から車で15分程度。市街地からほど近い屋敷町「桜坂」にこの住宅は建築された。江戸時代に書かれた「筑前国続風土紀」の絵図によると、当時この一帯は有名な修験場として栄えたとのこと。「山修験の徒、国中の諸山かけ廻り、この地蔵に詣でて勧行する。境内の桜木多くして桜ヶ峯の名におえるべし。春の頃、花の盛りには愛賞するに堪えたり。」とあるように古くから桜の名勝であり、福岡城下・上級武士の屋敷地としての歴史もある。現在もその名残は随所に見られ、町のいたるところに立派な樹木が残り、坂道の風情と相まって落ち着いた雰囲気を醸し出している。この建物の敷地は高台に位置した南高北低の形状。南面に道路、北面は大濠公園に向かって開かれており、大変見晴らしが良く恵まれた環境である。第一に我々が考えたことは「この地に受け入れられる建物をつくる必要がある」という点である。歴史を積み重ね、十分に成熟した一帯の趣を壊さぬよう、建物の在り方と表情には十分に配慮した。「新築でありながら景観に溶け込み、それでいて埋没することが無いように。」それを適えるため、建物は敷地に対して素直な2階建の長方形型とし、外壁は杉板型枠工法によるコンクリートの直線的な壁とアフゼリア材によって仕上げている。コンクリートの壁は東側住居に対する配慮およびプライバシー確保の役割を担っている。生活スペースは主に2階に配し、一階は完全なプライベート空間としている。建物の全長は南北に40m。北側の開放された見晴らしに対して心地良い抜け感を演出できるよう、建物内外共に直線の美しさにこだわった。ガレージと玄関扉までのアプローチは細かな格子壁で区切っている。来客用アプローチにはあえて迂回を持たせ、プライベートな動線は、格子の中に仕込んだ隠し扉が利用できる。エントランス下のスペースに配された樹木を眺めながら玄関扉を開けば、アフゼリアの床材が真っ直ぐに伸びる。東側にはめ込まれたドイツ製のガラスからの光が柔らかい。玄関は広々とした土間の雰囲気。開放的でありながらも静謐な雰囲気を演出している。玄関を抜けるとダイニングキッチンに続き、書斎スペースを挟んでリビングへと繋がる。抜けの良い空間は気持が良い。しかし実際に生活するとなると壁に仕切られた小空間も必要なものである。書斎を挟むことでその効果を得、リビングへの西側通路には「庭を眺められるお休み処」といった風情の縁側を配置。梁の構造を利用して、腰かけやお茶台として利用できる段差を設けている。 リビングには、その延長上にゆとりあるデッキスペースを設置。室内に居ながらにして緑豊かな風景を眺められ、さらに屋外デッキは過ごし方の幅を広げる。一階部分はご夫婦のプライベートな居室とサニタリー、中庭を挟んで和室へと続く。和室へのアプローチは、あえて中庭の踏み石を歩き一旦屋外に出る。この和室は主にゲストルームとして利用されることもあり、中庭をめぐることによる風情を持たせた。障子は面の数を考慮。ガラス繊維が入った和紙の光の透過は美しく、屋外の葉影が最も絵的に映し出されるよう配慮した。この建物自体が恵まれた広さを持っているが、その利点を視覚・動線ともに十分に活用できるよう収納箇所は豊富に設けてある。通風と採光に関しては東西の方角に準じ、東側壁上部と西側壁下部に、直線的に窓を配置。東から入った風が自然に西側に抜けて行く。さらに南北の壁面に対して端から端まで一直線に設けているため、美観も機能も満たされる。ガレージ脇には大きな桜の木。高台に建つ「桜坂の家」。歴史ある落ちついた風情を持つこの土地には「実直な家」が似合うと思われた。家の佇まいと暮らしやすさのバランスに考慮しながら、控え目でありながら確かな個性を発揮する建物づくりを目指した。時が経過した時、この建物がさらなる趣を醸し出してくれることを願っている。

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河口 佳介

トライアル会員
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SuMiKa上で「トライアル」的に活動している会員を示します。この会員の実績を見ることはできますが相談や依頼をすることはできません。
通常営業中です
部屋数
指定なし
家族構成
指定なし
構造
木造(2x4)
所在地
福岡県
ロケーション
都市