敷地は、南に穏やかな里山が広がる自然と眺望に恵まれた環境にある。爽やかな風が抜け、人工物はほとんど目に入らない。
設計に際しては、この景観を全面に採り入れながらも自然の厳しさから暮らしを守る、穏やかな落ち着きのある住空間を作ることに注力した。
道路向かいに仕事場がある。一旦、下レベルに降りるのではなく道路より直接2階レベルに玄関を設けることにより、職場と新居の動線を短くし、僅かながらもアプローチ空間を設けた。
面積配分上1階より2階の面積が5割ほど大きくなること、敷地横を通るJR線の振動を防ぐこと、また設計時に東日本大震災が発生し、クライアントから構造的な安心感を強く求められたことにより、1階をRC造、2階を木造とした。強固な構造と、木質の柔らかさを備えた住まいである。
2階主室内部は、表しの屋根架構が軽快な印象となるよう配慮した。間口いっぱいのバルコニーを介し、深い緑と繋がる豊かな広がり感と温かく包まれるような安心感は、緑に浮かんだ方舟といった趣である。
photo:石井紀久(Blitz Studio)
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