栃木教会

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日本基督教会栃木教会は,プロテスタントの教会として,栃木の地に1930年よりその活動を行ってきた。新たな教会堂を計画するにあたり,キリスト教の長い歴史の中で形骸化し,現代社会に適合し難くなっている礼拝形式や教会建築を再度見つめ直し,神学的検討に裏付けられた礼拝の場をそのあるべき姿として生み出すことが求められた。
教会堂は地道な日常生活を営む人々に広く開かれた場として,また神のもとに招かれた人々が平等な立場で相互に神への信仰を確認する場として存在することが求められ,教会堂自体が神聖化されること,象徴的に取り扱われることは極力避けられた。
建物は民家のように周囲に対し落ち着きと情感ある風景をつくりだすよう考えられた。建物全体を包み込む壁はその中心で切り取られ,そこには大地から十字架が立ち上がり,人々を招き入れ,また社会へと送りだす。十字架に導かれて前庭へ入ると,泉には絶えず水が溢れ十字架とともに洗礼とキリストの受難を想い起こす契機を与えている。
主要な諸室はすべて正方形の平蔓を持ち,相互に干渉し合う構成となっている。礼拝堂には光が満ち,聖卓を囲む人々ひとりひとりを平等に照らし祝福する。小礼拝堂もまた同じ構成を持ち,礼拝以外の集会や子供たちの礼拝が行われる場となっている。
この教会堂の設計において,この場所に集う人々が自らを等身大に感じ,その心を自由へと解き放つことができる空間が実現することを願った。