敷地は三浦半島の最南に近く相模湾に面する崖上の台地にある。海抜約27mの敷地に立つと相模湾越しに,南には大島を,西には富士山を遠望することができる。海の拡がりある風景を望むこの敷地に,海辺の美しい環境を体感し,日常生活から心と体を解き放ち,自由を得ることができる場所の実現を目指して計画が進められている。
建物全体は富士山の方向を指し示すような3角形の平面形状を持ち,台地と一体化した基壇の上に軽い屋根が浮いているかのような建物である。
地下部分は擁壁を兼ねた鉄筋コンクリート造で,3つの寝室とその中心に吹き抜けを伴うドライエリアを囲むラウンジがあり。それぞれの場所から海の様々な風景を切り取った姿と出会うことができる。
1階は北側の限られた鉄筋コンクリート造の壁と海側の6cm角の鉄骨柱で屋根全体が支えられ,外周を囲むガラス壁を介して広大な海の風景を体感できる。
玄関からは限られた領域に海の風景が切り取られ,広間にはいっていくと視界が開け海の全貌が見渡せる。この広間は来客者の様々な交流の場所として想定されている。北側の落ち着いた広さの食堂には暖炉があり,その西側には海越しに富士山が正面に見えるテラスが連続している。そのさらに西には夕焼けに染まる富士山を望むテラスが設けられている。ここからは崖下の浜辺へ降りていくことができる。
1階の広間には吹き抜けがあり地下のラウンジへと空間が連続し,そのラウンジには建物内部に引き込まれたテラスを介して大島へ続く風景に出会うことができる。
単純な構成の建物でありながら,その内外部を巡るにともない連続的に変化する風景との出会いが,豊かで多様な空間体験をもたらすと同時に,この敷地のもつ雄大な景観と調和する環境の実現を目指している。
所在:神奈川県三浦市
用途:住宅
規模:地上1階,地下1階
構造:鉄筋コンクリート造,鉄骨造
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