敷地は、都心の大通りに面した間口4.9m、奥行き15.9mの23坪の狭小地である。この細長い敷地に最大限に床を積層した収益性の高いビルの計画が求められた。
隙間無く、密集するビル群の中で、敷地は都市の窪みのように現れており、その奥行きを街路樹と呼応する都市景観として好転的に建ち表れることを目論んだ。
1階〜2階はメゾネットの賃貸店舗、3階〜7階はワンルームの賃貸事務所、8階〜9階は吹抜けを介したメゾネットの住宅兼音楽アトリエ、10階は可動収納、可動間仕切りにより、ワンルームから部屋を仕切ることができる住宅として機能を積層させている。
間口4.9mで10階建てのペンシルビルにおいて、収益性の高い平面計画を成立させるためには、とにかく構造を小さくする必要があり、250×250の肉厚BH鋼による鉄骨造の短スパンのラーメン構造+アンボンドブレースとしている。
構造を隣接するビル側の壁面に集中させ、前面道路側をガラス+アンボンドブレースのみとすることで、積層された床がビルの表情として現れてくる。オリーブの木を植えた避難バルコニーを室内へと続く床と一体化することで、ビル全体が街路樹と呼応する花壇の積層として周囲に現れている。
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