敷地は駅前商店街から一歩奥に入った、商業地域と住居地域の境にある土地である。
隣地の一方は5階建てのビルに接し、他方は一戸建ての住宅が立ち並んでいる。
この30坪の細長い敷地に、1階のテナントスペースと4つの住戸を確保する事が求められた。
賃貸住宅では、「南面住戸」という立地は借り手がつく条件の一つになるが、南側に6mしか接していないうなぎの寝床のような細長い敷地で、住戸全てを南面住戸とすることを目論んだ。
1階の縦半分はテナントスペースとし、残りの縦半分は共同住宅へのアプローチ空間とした。
エキスパンドメタルの門扉を入ると共用廊下があり、各住戸の玄関が並ぶ。共用廊下は自転車等を置くスペースとなり、各住戸には共用廊下から使用する階段下収納が付随する。
コンクリートの階段を上がった2階は寝室と水廻りを配置した。水廻りをガラス張りとし西側に寄せる事で、水廻りを介して、寝室に東西からの採光と通風を確保出来るよう考えた。
3階はLDKとなっており、西側に設けたテラスと一体になった開放的なワンルーム空間となっている。更に上部にはタラップで上がる、グレーチングのロフトを設けている。
各住戸の屋根は南面に三角形のトップライトを東西に振りながら設ける事で、隣接する住戸の影響なく、南側の光を室内に取り込んでいる。テラスと南面トップライトで集めた光は3階床に設けたガラスの開口部を通して2階に降注ぎ、共用廊下と2階を隔てる床に設けた開口部から、1階共用廊下にも光が降注ぐ。
4つの住戸は全て地上階に接地し、南からの光を取り込んだ、コンパクトだが、ゆとりある3層の戸建てのような共同住宅が実現した。
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