この専用住宅のリフォーム依頼を受けたのは、2004年夏。現場は大阪市内の住宅街にあり、左右ともに同じ間口の同じ顔の一戸建てが並ぶ、よくある風景である。ここで特筆すべきは、予算との戦い(いわゆる設計終了後の見積り調整期間)に、半年もの期間を費やした事。イヤもうちょっとかな。とにかく施主・設計事務所・工務店3者がぐったり疲れ果ててようやく着工となった。着工後も細かな追加や変更に追いまくられ、蒸し風呂のような現場でよく大工さんたちも対応してくれた、と感謝しきり。スタートから引渡しまでの、ともすれば苦痛になりかねない長いプロセスの中、救いは常に、元気で明るく前向きな奥様だった。ご主人と3人の子供たちを仕切りながら、めげることなく私たちと目標に向かって取り組む姿に何度はげまされたことか。小さな小さな住宅ではあるが、明るい光が差込み、風が吹き抜けるシンプルな住まいに似つかわしい家族である。ただローコストであることを目標にするだけでは、家づくりという物語を完成させることはできないことを、改めて実感した苦楽の多いプロジェクトだった。
この写真は、道路からファサードを見たところ。
以前はアイボリータイル貼りの左右隣家と同じ顔だったが
今回、外部も含めての完全改装となり一変。木格子で目隠し機能と外部空間を視覚的に
内部とすることと、既存タイル目地は埋めて塗り壁とし、まったく新築状態となった。
また、入口表札の横には、奥様提案の家族全員の力作オブジェを配置。
無機質なエントランスに華を添えるかっこうとなった。
*詳細はこちら→http://www.livjp.com/usu050713.htm
*撮影:TAKEUCHI,Shinji
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