敷地は新潟県燕市。
2018年に竣工したSDC/燕の歯科医院の隣にメンテナンス棟を増築するプロジェクト。
働くスタッフが毎日通うのが楽しみに思える、誇りに思える、カフェ併設の歯科医院「SDC PLUS」を計画。
建物前面には走り回ったりゴロゴロしたりできる芝生広場を整備し、SDC本医院やブックストア、託児施設とは木製デッキでつなぎ、
歩き、巡り、ゆっくり居られる環境を整備した。
目指したのは歯科の専門性やカフェの専門性はもちろん、
それを越えて、すでにあるSDC本医院やブックストア、託児施設、森、近所のクレープ屋さんらがひとつのまとまりを成し、
ここに行くとなんだか楽しそうとか、ここにいる時間が好きとかといった、ぼんやりとした公共性。
もっと公園らしくもっと寛容にもっと色々な気持ちや目的で立ち寄れる居場所として、
小径木材、折半屋根、ガラスといったシンプルな材料のみで作る、小ささと大きさを同時に体験出来るような環境、
居心地の多くを屋外との関係や、他者と関係、内装の設えとの関係といった「 もの、こと、ひと 」に頼った空間を提案した。
木製小径材による柱、筋交い、梁により構成される華奢なフレームに大きなスパンを負担できる折板屋根を架け、外周をガラスで囲い込んだ。
構造材は全てライトグレーに塗装され、「木造らしさ」をあえて消す。
それでもなお感じられる材料の模様や柔らかさ、暖かさは空間全体に空模様のような雪景色のような曖昧性と軽快性を漂わせる。
そんな空間に消毒室やレントゲン室、トイレ、カフェ厨房といった明確な機能室をカラフルな箱として配置し、空間を柔らかく区画した。
カラフルな箱は建物構造から解放されているため、カフェの拡大や診療ユニットの増設、異用途の介入、用途の刷新などといった
将来の変更に対し柔軟に経済的に対応することが可能である。
建築としては、小屋から大きな倉庫、そしてビルまで、非常に展開性と汎用性のある作り方を示したこのプロジェクト。
それにより出来たこの環境やエリアが、今後「歯科医院であることを越えて」どんな「!」を生んでいくのかが楽しみでならない。
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