旧街道の柳街道から旗竿形状で接道する土地。この柳街道は道路拡幅の計画があり、前面の土地が削られて旗竿地だった土地は道路に面することになる場所でした。そのため、設計する際には場所の記憶を感じるものを作りたいという思いがありました。またご依頼頂く際に内部構成は2部屋とLDKで部屋はつながっていてもいいというビックワードを頂いたことで思いが飛躍していき、タイトルにある「一室の家」という構想が当初から作られました。
そこで提案させて頂いたのが屋根の形をどこでも共有する空間でした。LDKを中心に部屋を配置し、LDKが頂点となった屋根の形をどこからでも感じ取れる。外部は軒を感じ落ち着いた佇まいを持たせることを意識して設計していきました。(そのためこの住宅はファーストプランから原型が変わらずに作りあげられました。)
内部空間は中央が頂点となる天井をどこからでも感じとってもらいたいと壁は天井まで上げず、視線を遮りながら空間をつなぎ、中央にあるLDKに柱を落とさずに広い空間を作ろうと「かぶら束」を使い無柱空間を実現しました。またそこに向かう構造材を扇状に配置したことがより中央に向かう意識を強くし、「一室の家」の思いを強くしてくれました。
外観は場所の記憶と言っても昔ながらの和風の建物を作ることはせず、雰囲気を作ることを意識しました。実際にこの建物はガルバリウム鋼板の屋根にKMEWの「SOLIDO」と新しいものを採用していますが、軒の見え方と外壁の見え方をコントロールしたことでどこか和の雰囲気を感じて頂けると思います。
ダイナミックな構造体
全体がつながった空間
経年変化を楽しむ素材
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