夫婦と子供が新しい生活を始める住居です。
計画敷地は奈良市の菖蒲池の周辺に位置し、東西各2方向の道路に面するひな壇形状の中の一部にあります。
敷地周辺に対して開口部を設けても望ましい景観が得られないため、中央に中庭を配するコートハウス型のプランとしております。またこの形状のプランはプライバシーを確保するといった意味でも常に有効です。
今回はクライアントの希望を踏まえ熟慮した結果、将来性や必要とされる空間のボリュームとその他必要な機能の全てが納まるという結論に至り、平屋の計画となりました。
22畳のLDKと奥にある居室は中庭を挟んで対峙します。その端から端までの奥行きは13mにおよび、実面積から想像されるよりも拡がりのある大きな空間となっています。
北側には水廻りの機能が集約され、洗面所、浴室と続く先には坪庭が配されました。
洗面所にはトップライトが設けられ、北側とは思えないほど明るい空間となりました。
また南側には家族が趣味や勉強に使える書斎コーナーが設けられ、壁一面の書棚が配されており、家族が椅子を並べそれぞれの時間を過ごせるようになっております。
プラン自体は行き止まりのないよう中庭を囲み周遊できるように計画されており、中庭の中央には四季の移り変わりを楽しめるようイロハモミジが植えられました。
外観は可能な範囲で軒先を低く、また外壁仕上げ材を横貼りとすることで水平ラインを強調しています。
建物自体、またデザイン共に経年変化に負けないよう内外ともシンプルな構成とし、新建材の採用は極力避け、無垢の天然材料を使うことを心がけました。