敷地は駅に隣接する市街地の閑静な住宅街にある。
敷地の形状は北東角が鋭角な台形をしており、その中に単純な幾何学形態(L型)の建物を配置する事で、プライバシーを確保しながら敷地の余白に対して開放する、外部を取り込む拡がりのある空間を目指した。
RC打放し塀に沿ってアプローチし、外部から内部に続く格子天井の玄関を抜けると、垂直方向に拡がるエントランスホールが来訪者を迎え入れる。この空間では、空が断片として切り取られ、生活の中に織り込まれている。時には厳しく、時には優しく白い壁に反射して光が挿入される。水平方向の視線の先には、白いRC塀を背景として色鮮やかに映えるイロハモミジが配されている。
LDKの引戸を開けると、コートに面したカウンターと一体になったアイランドキッチンが出迎え、水平方向に拡がる開放感のある空間に入る。LDKに対して斜めに延びる白いRC塀は、プライバシーを確保し、緑や光の背景となると共に、土地の特徴を力強く感じさせる。
2階には個室を互いのプライバシーを考慮しつつ配置し、ルーフテラス、サービスバルコニーはアルミルーバーを介して、エントランスコート等の緑と上下に緩やかにつながる。
建築に取り込まれた光や緑は、空間に拡がりを生み、空間を可変的なものとする。時間の経過と共に様々な姿をみせるこの空間を楽しみながら穏やかに暮らしていけたらと願う。
写真撮影:松村芳治
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