土地に根差すために
密集した住宅地の細い道路に接道した路地状敷地が計画地であった。最小2.05mという法規ぎりぎりの路地を14mほど進んだ先に500㎡の広い敷地が待っていた。敷地には桜や梅、山茶花、金木犀などの木々にあふれ、南側の隣地は2mほどGLが低いため見晴らしがよく、北面は敷地内に2mほどの高低差があるため、緑豊かな法面が敷地に寄り添っていた。
道路からも覗けないほど、奥まった敷地は外界から切り離された箱庭のようで、この箱庭に見合う慎ましい平屋を設計した。
北側にがけ地があったため、高基礎の計画としたが、垂直ではなく傾斜をつけた断面とすることで土地との連続性を
白地
平面計画を考えるなかで個々のスペースが窮屈になることは避けたかった。平面計画をする際には個々の用途や置く家具に応じて必要な面積を割り振り、無駄なスペースが無いようにするが、そのような方法で計画した余白のないプランでは庭の豊かな緑や見晴らしのいい眺めと対照的で外部と内部が明確に分断されてしまうのではないかと危惧した。狭い面積の中で外部の豊かさに負けないために、あえて用途を決めない白地を設けた。庭に面した南面に幅3.5mの窓を計画し、その付近は白地とし用途を決めなかった。外部との接点を余裕のある空間とすることで、外部の空間との調和がとれる。内部においても白地は隣接するリビングやダイニングとは独立した存在感を持ちながらも、他の空間を拡張する可能性を感じさせる。
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