この住まいの土間はどちらかといえば勝手口に近い配置であり、日々の食事を用意する場所や畑仕事で収穫した農産物を仕分け選別する場所ではなかったかと考えられる。この住まいを一部農家のゲストハウスとして考えた時、施主も考えておられるように、ありきたりの農家の居室を単なる宿泊施設としてお貸しするという安易なスタイルではなく、住まいの歴史を感じながらも少し洗練された居心地のよい宿泊施設としての機能をを持たせることで、これからのこの地域での宿泊施設の魁となりつつ、古くから存在する伝統や地方の個性豊かな文化・風習・健康的な暮らし方や食生活等に興味を持つ欧米や日本のインテリジェンス層に強く訴求する力を秘めた民泊となるであろう。
幸いにも施主はこの地方にて限りなく自然に近い農法で野菜類を生産されている。それはまさしく現代のインテリジェンス層が限りなく健康的なライフスタイルとして求めているものであり、これからの時代に必要不可欠なアイテムである。それらを楽しむ豊かな空間がここに誕生した。
環境との調和、自然素材の多用、記憶の継承