敷地は島原の城下町へと降りてゆく縦道沿いにある。クライアントはこの縦道を下っていくときの風景が気に入られてこの土地を購入された。しかし実際に現場へ足を運んでみると城下町の方角には隣家があり1階から望める景色は少なかった。
本を読むことが好きで、リビングや浴室から城下町を見下ろしながらゆっくりと読書を楽しむことができる生活の提案が求められた。
計画は限られた眺望を生かすため生活の主体を2階とし、箱状の建物の角を切り取った部分をテラスとし、そこに面してリビング・浴室・階段を配置した。隣家があるため、リビング・浴室の両方からの眺望と廻りの建物からの視線を遮りプライベートな空間を確保するため、建物の角度を調節している。よって建物は道路にも敷地にも平行ではない。
外に開いた部分は北側。南側は片側2車線の道路となっているため外からの視線を考慮するとあまり大きな開口部は取れない。建物のほぼ中心に配置した中庭は1階車庫から屋根まで抜け内部に光と風を呼び込む。また中庭に植えた樹木の葉は、風で揺れ降り注ぐ光に透け、内部空間にゆとりと癒しの空間を演出する。
外壁に使用したアスファルトシングルの表情。
内部に光と風を呼び込むため中央に配置した中庭。
リビング、階段、浴室からの眺望
空気が澄んでいる冬の寒ーい夜に現場で打ち合わせを終え、2階テラスにでると綺麗な満月とその光に照らされて青く浮かび上がった島原城が絵画のようで素晴らしくきれいでした。この景色がこれからも見れるだけでも依頼してよかったと言っていただけて大変嬉しかった。
川村工務店
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