敷地は、市中心部より僅かに離れた住宅地。隣地には、東にアパート、南、西は境界いっぱいに2階建ての事務所、震災で使用不能となったクリニックが建っていた。このような環境においては、敷地条件を手掛かりに、設計の拠り所を見出すことは難しい。
そこで、外部に対しては半透明のガラスと植栽によるバッファーゾーンを設け、内部において独自で豊かな場であるよう意図した。
構成は、北側前面道路より、ガラス塀・北庭・階段室・主室・南庭をレイヤー状に配し、東西に伸びる主室と、北庭に対した階段吹抜とに、水平、垂直に交わる。主室を中心に各部屋は、吹き抜け、南庭を介して繋がり、それぞれの居場所を設えている。
静かで穏やかな均衡を保ちつつ、刻々と移り行く光と陰翳によって、日々変化に富んだ空間となるよう図った。
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