Kさんの家は大根島の海辺に建っています。穏やかに広がる海、遠くに見える大山、ライトアップされたベタ踏み坂、米子鬼太郎空港の滑走路が放つ光…。中でも月明かりに照らされた海は、幻想的で息を呑むほど美しいとKさんは言います。
2年前、Kさんはこの場所を偶然見つけました。度々訪れて、ここに家を建てたらどうかと空想していました。そんなある日、お隣のHさんから声をかけられました。Kさんが気になっていた島での生活を尋ねると、Hさんは親切にも役場、学校、病院、スーパーマーケット等を車で案内してくれました。
これが決め手になりました。不便ではないかと心配していた島での生活でしたが、案外そうでもありませんでした。Kさんは、すぐに土地を購入し家を建てる決心をしました。Hさんに報告すると、設計事務所を紹介されました。
「あのやり方はもっと広まるべきだと思って、勝手に応援団になったのですよ」とHさん。
それが+M設計でした。早速Kさんは+M設計を訪ね、限られた予算ではありましたが、思いの丈をぶつけました。じつはKさん、他にもハウスメーカーや工務店とも接触しましたが、予算と要望事項とのギャップの大きさに苦笑されることもあったといいます。
しかし、+M設計は違っていました。「面白そうですね。こんなふうに工夫すればできるかもしれませんよ」、とポジティブな言葉が続きました。
+M設計の進め方は独特でした。見積もりはそれぞれの業種毎にとり、比較検討して業者を選定しました。十数社の業者が一同に会して行った契約会は、「いよいよ始まるんだ」と身が引き締まりました。工事が始まると、K邸専用のメーリングリスト(ML)に日々報告が入ってきました。MLにはKさん夫妻、+M設計のスタッフ、すべての工事業者が参加して、関係者全員が常に情報を共有して進みました。
「私も家内も、+M設計の一員になったように深く関わらせてもらいました。私たち依頼主と建築家との、楽しいコラボレーションができたと思います。オープンシステムは自由度が高く、しかも建材や工事の原価まですべて分かります。家族で建具や床を塗るなど、工事に参加することもできました。正直、家づくりがこんなに楽しいとは思いませんでした」とKさんは振り返りました。
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