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約160年前に建てられた土蔵のリノベーションである。2006年に改装した母屋に続く2期工事にあたる。クライアントは、倉庫としての蔵ではなく、ゲストハウスや町の寄合所として使用できる、古さを生かしながらも機能的で新しい空間を要望した。
●敷地の様子
敷地は霞ヶ浦から流れる常陸利根川に面する潮来市牛堀地区に位置する。川向こうは香取市佐原で、これら水郷地域は江戸時代に水上交易で栄えた場所である。周辺には町家や土蔵がいくつか残っている。敷地は広く、今回リノベーションした土蔵の他に、母屋(約46坪、2006年改装済)、20坪ほどの木造2階建て住宅が立っている。
●計画
土蔵は、一時期裁縫教室に使われていたことがあり、そのために多くの窓が開けられたため、壁量が不足し、全体が傾いていた。地業は割栗の厚さも十分で松杭もあると推察されたが、川に近いこともあり地盤が緩く、少々不同沈下が認められた。土台は腐食が進んでおり、このままでは長くはもたない状態であった。取り壊しも検討されたが、クライアントの強い希望で改装することになった。
調査により、ふたつの異なる時期に建てられた土蔵が屋根で一体化されていることが分かった。そのためジョイント部分の壁量を増やし、土蔵には多すぎる開口部を減らし、水平垂直を修正し、強固な軸組みを構成した。そして一方を水回りを設けテーブルや椅子を置き気軽に使える土間空間とし、もう片方は置き囲炉裏の廻りで飲み会ができる少し親密な雰囲気の床空間とした。
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