地域住民の憩いの場だった電車がある土地にプラットホーム風の平屋を新築。
車両の外装と内部を改装して、趣味と子どもたちのスペースに。
photograph_ Takashi Daibo
プラットホーム
(兵庫県高砂市)
- 設計
- 一級建築士事務所CONTAINER DESIGN
- 住人データ
-
浩輔さん(31歳) プレカット工場勤務
早紀さん(29歳) アルバイト
長男(5歳)、長女(3歳)
「キンダーガーデン」という愛称で長らく近所の子どもたちの遊び場となっていた土地をご両親から譲り受けた木村浩輔さん。
ご自身も幼少期から慣れ親しんでいたというこの場所は、30年ほど前、当時小学校の校長を務めていた大叔父さまが電車をレッカーしてつくり上げた物語のある土地でもある。その電車の隣に寄り添うように2013年、平屋建ての住宅を建てることになった。
設計を担当したCONTAINER DESIGN の岸本貴信さんは、
なんでこんな所に電車が? と疑問に思って木村さんに話を伺ったところ、もともと地域住民の憩いの場として開放されていたということを知りました。そして車両の中を拝見させてもらうと、当時の新聞記事のスクラップや感謝状などが飾ってあり、この電車が地域に貢献し、住民から親しまれていたことが伝わってきたんです。それでこれは撤去してはいけない、次はこの家族のため、木村さんのお子さんのために残すべきだと思いました
車両は昭和42年製造の山陽電車で、元のボディカラーはクリームとブルーのツートン。錆びていた塗装の上から改めて木村さんご夫妻の好みのオレンジとグリーンに塗り替えた。内部壁面に使用した構造用合板は新築部分と共通の素材で、これ以外に杉板30㎜の床材と照明の白熱球などを合わせて採用している。
合板は便利ですね。釘を打ったり、貼り紙をしたり、あとからいろいろ付け足すこともできますから
と浩輔さん。職業柄DIYが得意で、素材も勤務先から調達したという。新築部分の要望については、
他人とかぶらない家。あと、子どもの成長とともに変化できる家がいいと思っていました。初期プランでは、今ロフトがある部分に半2階をつくる予定でしたが、子ども部屋を電車の中につくることにしたのでその案はなくなって。いずれ巣立っていけば必要なくなるので今は良かったと思っています
車両内の残り半分は趣味スペースとして活用。友人と飲み会をしたり、上棟式の場としても早速使用した。
家具を置いてカフェにするのも良いですね(浩輔さん)
と夢も広がる。リノベーションを経て再出発した地域のランドマーク的電車。新築部分はプラットホームとして、今後は家族の憩いの場になることだろう。
専門家プロフィール
1974年 兵庫県生まれ。
1997年 福山大学工学部建築学科卒業。
株式会社瀬戸本淳建築研究所入所。
1999年 井内清志建築研究室入所。
2007年 一級建築士事務所 CONTAINER DESIGN設立。
一級建築士事務所 CONTAINER DESIGN
- 住所
- 兵庫県神戸市中央区海岸通3・1・14 大島ビル306
- TEL
- 078・335・5795
- FAX
- 078・335・5793
- info@cd-aa.com
- URL
- www.cd-aa.com
〈物件名〉プラットホーム〈所在地〉兵庫県高砂市〈居住者構成〉夫婦+子供2 人〈用途地域〉用途指定なし〈建物規模〉地上1 階建て〈主要構造〉木造〈敷地面積〉236.50㎡〈建築面積〉86.77㎡〈床面積〉1 階 69.97 ㎡、ロフト 4.96 ㎡、合計 74.93㎡〈建蔽率〉36.69 %(許容60.00%)〈容積率〉19.14%(許容200.00%)〈設計〉岸本貴信/一級建築士事務所 CONTAINER DESIGN〈施工〉宍粟住建〈設計期間〉6 ヶ月〈工事期間〉6 ヶ月〈竣工〉2013 年〈総工費〉1,800 万円
※この記事はLiVES Vol.77に掲載されたものを転載しています。
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