東京都中野区に建つ計9戸の賃貸集合住宅。
東中野駅から徒歩10分程、早稲田通りに面した立地の利便性を生かし、都内で働く単身者をメインターゲットとする計画とした。敷地前面の早稲田通りは都市計画道路であるため、道路境界から2.8メートルのセットバックが必要になる。セットバック部分には鉄筋コンクリート造および4階建以上の建物は建築できないことから、思い切って奥行きを全て鉄骨造のテラスとした。鉄筋コンクリート造の本体建物と早稲田通りの間の軽快な鉄骨のテラスが、通りからの視線や日差しを程よく遮りつつ、暮らしぶりを街に溢れさせるバッファーゾーンとして機能する。テラス空間が賃貸住宅の付加価値となるだけでなく、街並みにも貢献することで、結果的に長く安定して稼働する建物となることを期待している。
また、敷地の北側には住宅地が広がっていることから、静かで落ち着いた環境を寝室として生かせればと考え、一般的な北入りの片廊下形式ではなく、建物中央にエレベーターと階段を配する計画とした。各階はセンターコアの2住戸で、明るい南側のリビングから静かな北側の寝室まで、南北に光と風が通り抜ける快適な住空間となっている。各住戸の専有面積は31平米とコンパクトであるが、リビングと寝室を分けることで、住まいの中でのオンオフを上手く切り替えることができ、特に忙しく働く入居者がきちんとした就寝の場を確保することができればと考えた。なお、内外を含めて南北に抜ける筒状の空間は、短辺方向に耐力壁を必要としない鉄筋コンクリート扁平ラーメン構造によって実現している。
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