2009年の9月に完成したのが「かやしまフォトスタジオOhana」である。
以前の店舗は京阪萱島駅の高架下にあった。高度経済成長期、DP店と言われる現像やプリントサービスは、大変繁盛したそうだ。
しかしデジタルカメラ時代に入り、新しい業態へと変化していく分岐点となったのが新店舗計画だった。
「センスの良い知人宅のリビング」と設定したレセプション。2階のスタジオも背景の為の背景はやめて、自然光でも撮影できるよう、様々な形態の窓をあけた。
「Ohana(オハナ)」とは、ハワイの言葉で「家族」や「仲間」を意味する。ご家族の、ナチュラルでハッピーな写真を写し続けてきたのである。
しかし、府の道路拡張事業にともない、解体撤去しなければならないことになった。
新しいOhanaは、コンセプトを踏襲するも、更なる発展をしなければ意味がない。
100m程離れた新敷地の回りには緑地帯があり、多くの樹々が植わっていた。この環境を、生かし切りたいと考えた。
新店舗のコンセプトは「あの森のOhana」だ。
前Ohanaにはシンボルツリーのオリーブが植わっていたが、2018年の台風で根元から折れてしまった。再生は不可能と言われたが、何とか根付き数カ月後には芽をつけだした。
これらの樹々も全て移植。新たに、アオダモ、ソヨゴ等も加わり、将来的には森のように樹々が生い茂る風景になればと思う。
1階のレセプションは、ひと回り大きくなった。将来的にはギャラリーのような使い方も視野に入れている。
2階のスタジオも、石井さんが最高の仕事をできるよう、理想的な大きさを綿密に検討した。
「あの森」は樹々が生い茂っているという意味だけではない。誰の心の中にもある、何かワクワクするような場所……そういった心象風景をさしている。
新しいのに、どこか懐かしい「あの森のOhana」。是非お越し下さい。