戸越銀座の商店街から少し坂を登った近隣商業と第1種住居地域をまたぐ敷地に建つ投資用の9階建ての集合住宅。元々は6階建ての女子学生寮が建っていた500㎡の敷地から最大限有効な面積を得るスタディをすると、住居地域部分の低層棟と、近隣商業部分の高層棟に分かれ、高層棟は日影計算のため、3階から5階がくびれた形状となった。
2-3階建てが多い近隣の住宅に比べて、建物ヴォリュームがかなり高くなるため、近隣への圧迫感を和らげる手法を検討した。垂直性が高いヴォリュームに、水平のスラブの表現をほどこし、水平に分節し、さらにスラブとその間に挟まれた壁の色を変えることで、水平性を強調した。
集合住宅のバルコニーには光や景色を取り入れるための開放性と同時にプライバシーも必要だ。美観のためには空調の室外機をあまり見せない工夫も考えた。このプロジェクトでは手すりの縦格子の角度を変えたフラットバーで作ることで、開く場所を閉じる場所をコントロールできるようにしている。低層階は前を通る人の視線を遮るために閉じ気味にして、あまり視線が気にならない上層階はなるべく開くようにした。また室外機などの機器がある部分は閉じているが、開いた部分と閉じた部分がシームレスに連続することで、表情のあるファサードを形成している。
住戸数は43戸で、20㎡台の住戸が30戸、30㎡台が7戸、40㎡台が6戸と単身者をメインとした住戸となっている。全体のヴォリューム形状に沿ったレイアウトのため、住戸タイプは16タイプある。賃貸住宅の場合、同じ住戸タイプが並ぶよりも、少しずつ異なるレイアウトは、それぞれの住戸に個性があり、豊かな住環境を実現している。
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