大阪在住のご夫婦がご主人の定年後のお住まいとして、郷里のご実家でスローライフを営むべく計画されました、若狭地方の築60年の民家の改修です。
お二人だけの簡素なお住まいとなりますので2階をすべて取り払い、吹抜として東~南~西の三方向から常に陽射しが降り注ぐ明るい造りとし、2階の床を支えていました梁と小屋組みの丸太梁を現しとしてゆったりとした空間の拡がりを造ります。
間仕切りの位置も変更し、引き込みの紙障子で夏はひろびろと、そして冬には暖かく区切ります。それらの紙障子は太鼓張りとして断熱性能を高めるとともに、灯りがほんのり透過しあるいは陽の影が映り、眼にも温かなものが感じられます。その一部は模様張りとして組子を覗かせ、視覚的なアクセントとしています。
不安な構造はすっかり取り除き、間取りも仕上げも一新してよみがえったお住まいは、新旧の様々な材料・設えと丁寧な職人の仕事とが渾然一体となって、人と住まいと暮らしとが、手の痕跡・時間の痕跡とともにあることを感じさせてくれます。
春になれば広い庭では土づくりからの菜園が待っています。海の幸にも恵まれたこの地方で、都会から離れたご夫婦のこれからの生活は、同時に私たち日本人の2011年以後の暮らしをも示唆しているように感じられます。
こちらからもご覧下さい。
民家再生.com > おおい町 減築の住まい
http://minka-saisei.com/works/ooicho/ooicho.html
木村哲矢建築計画事務所 > おおい町 減築の住まい
http://tetsuyakimura.jp/works/ooicho/ooicho.html
撮影 中村大輔
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