敷地の周囲に眼を向けると、西側は道路を挟んで熊野の山並みを
望むことが出来る。
節分明けに行われる「御燈祭」で有名な神倉神社が南西に鎮座する。
北西には天然記念物でもある「浮島」の小さな森も見える。
美しい山々の一番良いところを切り取り、その眺めを楽しむには
少しでも高い位置に日常生活の中心を配置するのが妥当であろう。
「朝陽を浴び、夕陽を臨む熊野の山々」は新宮市のシンボルでもある。
この繰り返す風景を「王子が浜」の沖合いに船を浮かべ、
そこから望む姿として想像してみた。
リビングダイニングがゆったりと空中に浮かぶようなフロートハウス。
昼間は建物から少し飛び出した2階部分が、存在感を辺りに漂わせ、
夜になれば闇に馴染んでいく周囲の黒い箱。
ライトアップされた浮遊するような空間は浮島であり、
太平洋に浮かぶ屋形船のようにも見える。。。。