築40年を過ぎたRC造住宅のフルスケルトンリノベーションです。
計画地は大阪万博の頃に開発された住宅地で成熟した街並みですが、
世帯交代が進む一方一定規模のゆったりとした敷地が相続等により分割され、そこに類似した今風の住宅が立ち並ぶという地区です。
今回の計画では築40年を過ぎた建物が持つ歴史性(親世帯)とこれから同居する新しい家族(子世帯)との関係を、同一色調(同調性)の中で内部空間と外部空間とを緩やかにつなぎながらも、日常(2階部分)と非日常(1階部分)といった二元対比を用いリノベーションの可能性を追求しています。
しかし、今までの生活の痕跡をすべて消し去るのではなく、一部に既存のディティールを残しながらも古いものと新しいものを素材や質感、色彩等を使って融合させ、まったく新しい建物に生まれ変わりながらも古い建物の面影がどこかに残るよう配慮しています。
今まであった街並みの雰囲気や景観を残しながら、家族の歴史を途切れさせたくないという施主の気持ちをカタチにできたのではないかと考えています。
第10回「キッチンに住む」フォトコンテスト審査員賞 受賞
photo by SS大阪