大阪市内の静かな住宅街。敷地は角地で、特徴のある形をしている。
2015年の夏から、候補になった敷地はいくつかあったが、エリア、環境、価格と、全ての条件を満たすのは簡単ではない。
ようやく見つかったこの敷地は約110㎡。この位の広さがあれば、駐車スペースと中庭が確保できる。
南の中庭から光と風をとりこみ、西面にはエントランス、2階はクローゼットとし西日対策で閉じた。敷地径所に沿って、最大限のボリュームを確保しに行く過程で、特徴ある外観となった。
各個室は2階とし、中庭を囲むようにLDK、浴室、和室を配置している。キッチンと繋がるこの2畳ほどの小さな和室は実に多機能である。
洗濯物を畳む、子供の昼寝、雨の日は物干しにもなる。ここで畳んだ衣類を壁面に収納すると、反対側の洗面、脱衣からとれるようにもなっている。
キッチン後ろにある家事スペースも含めて、仕事、家事、子育てに奮闘する奥さんと練りに練った配置となっている。
内部壁はほぼ珪藻土。床はヒノキの無垢材となっている。計画の当初より、ご主人から「不自然でない」というテーマを貰っていた。
「例えばカロリーゼロって不自然じゃないですか」と。言われてみればその通りだ。
美味しい。だけど実質食べていないことになっている。これが本当なら、ある意味ホラーともファンタジーとも言える。
しかし、家は幻想ではなく実物である。自然で、素直で、無垢な中庭のある家。
共働きで子供さんは就学前。人生の中で最も忙しい時期に、クライアントと一緒に直球ど真ん中で勝負したつもりだ。
それらに応えられたかどうかは、5年後、10年後を待たねばならない。しかし、1年点検の際は、「とっても快適」と言って頂いたのだ。
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