敷地は東京のど真ん中、高速道路や大通りより一本入った場所にある建物の一角。クライアントは都心でも利便性の高いロケーションにこだわり、斜線によって建物ボリュームが削り取られている築37 年の屋根裏部屋の様な中古物件に巡り合った。
インテリアは斜線部分が天窓状になっており、部屋に街が溶け合う様なより親しい関係が生まれていた。また当初からairbnb(エアビーアンドビー:現地の人から住宅などを短期で借りる事ができるソーシャルサービス)の利用を視野に入れており、物件の特徴を活かして屋根裏部分を寝室空間にしてホテルに改装した様な空間とした。
躯体現しの屋根裏のような空間とホテルの様なインテリアを調和させるため、躯体にマスキング塗装を施すなど、都心に建つ古いビルの屋根裏という独特な空気感と、ホテルの上質なイメージとを互いに共存させるというデザインに注力した。
これは利便性の高い東京の中心部に林立する国内メジャーホテルや外資系ホテルへのカウンターである。サービスアパートメントとホテルの中間の存在としてゲリラ的にこの形態の物件を利便性の高い都心に増やし、シリーズ化していく。記念すべき第一歩目のケーススタディである。
バブル期に経済合理性の名のもと、フットプリントが小さくても地価の高い場所には容積率めいいっぱいまで建ち上がった無数のペンシルビル。その上空には実はたくさんの可能性が潜んでいるようだ。東京らしい都市風景が生み出すそんな副産物を、ひとクセあるホテルの様な利用とする事でポジティブに捉えたいと思った。