菊川ICに程近い、近年行政により区画整理された新興住宅地。54坪の変形敷地は、西側に道路を挟んで小川が流れ、南側にはそれに流れ込む水路があり、水に恵まれた立地条件での計画となった。<br /> 計画段階では既に東側に住宅が建築されており、北側も同様に住宅が計画されていた。幸い南側は道路との間に水路を挟んでいるため、隣地との距離が確保されており、少しの緩衝帯を設けることで外部からの視線を遮る事ができる。よって、家族の生活の中心であるLDKをそこに配し、大開口で外へと繋がる視覚的大空間を創り出すこととした。<br /> 住まい手からは「外観も空間もシンプルですっきりとしていること」のみが要望として出されていた。「シンプル=明快」と捉え、上下階をパブリックスペースとプライベートスペースに完全分離した。唯一プライベート・パブリックの共用スペースとした和室は、階段を上がりきった所に設け、その奥へは家族のみの動線とした。LDKについては、製作家具を可動式とすることで、用途に合わせ常に全体がフレキシブルな生きた空間となり、また視覚的大空間を邪魔しないよう配慮した。外観は白い塗壁に木質をパランス良く配することで、清潔感と繊細さを醸し出すように心掛けた。また、近隣をとりまくハウスメーカーで建築された建物が生み出す単調な街並みに、良い意味での刺激になれば、という思いでデザインした。庭のシンボルツリーのケヤキ同様、水辺の白い家が、その街並みのシンボルになれれば幸いである。
資料請求にあたっての注意事項