平屋建の改修と再生。敷地は秋田市の中心部でありながら、とても閑静な場所です。既存建物は築40年以上、入母屋造りの屋根をもつ低層で美しい日本家屋です。かつて陶芸をするための場所でもあったようで、格天井と呼ばれる寺社などでしか見られない天井や、趣のある床の間などから、どことなく数奇屋を感じさせてくれます。また、大きな庭園も特徴のひとつで、約160坪の敷地に対して建物が約36坪。敷地の半分以上は庭園が占めることになります。そのような和の性格をもつ既存の条件に対して、過去からの文脈を壊さず、新たに何ができるのか?。自問自答しながら設計を進めていきました。まずは建物の履歴をたどり、先人がどのように建物を使ってきたのか、先人の大工の仕事の跡から何を読み取るのか、調査を徹底しました。そのうえで残すべき部分を見極め、新たに造りあげる現代の要素とどのような融合が可能なのかを模索していきました。過去から現在、そして未来へと末永く継承できる住まいを目指して。