本計画はクライアントの「倉庫をリノベーションしたような住まいを。」という言葉からスタートしたプロジェクトです。近年住まい方の多様化もあり、金額面を考え既存倉庫をリノベーションしたような住まいが流行っている。しかしながら実際は、しっかりと住居として考えるには断熱性能や構造面を配慮する必要があり、結局のところ新築並みの金額がかかってしまうことが多々である。そこで本計画では新築で「倉庫をリノベーションしたような住まい。」を造り出し多様で豊かな空間を試みた。
敷地は古くからある住宅地と新しい分譲地の間に位置し、三方を細い生活道路に囲まれた敷地です。
そこで私たちはまず、昔からこの場所に元々存在するような倉庫を生み出し、その倉庫を施主の手でひとつひとつリノベーションしていったかのように丁寧に設計を行っていった。
外部と内部の繋がりを大切にしながら、内部空間ではホワイトキューブを1つ設け、その中にプライバシーの必要な機能を閉じ込めた。全体としては緩やかに繋がるスキップの空間とし、あえて空間の機能を限定しない平面計画を行い、施主の手で長い時間をかけて愛着のもてる空間をつくっていける余白を設けた。
新築とすることで耐久性や環境負荷を考慮しながら時間軸までもデザインし、まるでそこに今まであったかのような深みを作り出すことができたのではないか。そして、今後将来にわたってそれがより濃く生活の豊かさへと変化することを私たちは期待する。