敷地は、目白通りから北に150m程入った閑静な住宅街に位置する。敷地の南側と北側は幅員6mの指定道路に接しているので新築を計画する場合、セットバックによって現況の敷地は大幅に削られてしまう事になる。このような厳しい狭さの中に、施主からは3戸の賃貸集合住宅が求められた。従来通りのやり方で敷地を平面的に分割し、各住戸をゾーイングしても、住戸プラン・日照条件などの賃貸価値に、どうしても差が生まれてしまう。また狭い敷地の中で各住戸がその居場所を主張し合っても貧しい空間になるだけである。そこで、各住戸が敷地全体を自分のものとして共有できるような関係を作り出す事を考えた。
この建物は、3住戸が中庭を中心に共有しながら、3重螺旋状に取り囲む様に集合している。この構成成立させるため、構造は中庭側に300mm、3層分のRCコアを建て、そこから床スラブを跳ね出し、その先端では鉛直力のみを支えるφ=114.3の鉄骨柱を配置した。このような構造体にすることで、外周部分では荷重を全く負担する事なく、自由な開口を設けるとができ、周辺環境に対して「開く/閉じる」のパラメーターを自由に設定できる様にした。
中庭は各住戸間に共存の意識を仕掛ける格好の場所となった。この中庭を利用して、3住戸が共に生活する事を少しでも楽しんでもらえれば嬉しく思う。
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