30代のご夫妻が将来的に4人家族で暮らすこと想定した計画。土地探しの段階から携わった。ご夫妻の要望と予算を照らし合わせ、土地と建物のコストバランスや適切な規模感を押さえることが全てにおいての大前提となった。敷地面積は36.97坪。車2台で4人家族の暮らしを考えるには一見心許なく思われるであろう土地だが、確信を持って「この土地に理想の暮らしを生み出せる」と伝えた。
それぞれの空間はコンパクトだが、「小さい敷地だからこそできる」を大事に考えた設計により、心地よさや豊かさが編み出されている。
LDKには外の景色や空気を大らかに取り込む窓。明るい窓辺から奧へ行くに従って暗くなっていく「明暗」のグラデーション。外部と室内をゆるやかにつなぐ紙布障子のレイヤー。窓辺にはあえて段差を設け、内向きにも外向きにも腰かけられるようにすることで、コンパクトな空間の中に多様な居場所と使われ方ができた。
この家は特に家づくりを終えてからも、頻繁に遊びに立ち寄らせていただいている。新しいお客様のご案内をお願いしても、いつでも快く受け入れてくださる。訪れるたびにいつも思うのが、「暮らす人にとって似あう家」であることが如何に大切であるかということ。この家は住まい手に「似合っている」。それがいつも嬉しく、温かい。
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