敷地は岩宿遺跡のある琴平山を西に眺める集落の一角で、北に赤城山、西に桐生の山々を望むことが出来るのどかなところである。
住人は高齢のご夫婦と息子さん。施主は遠方に暮らす娘さんご夫婦で、年に数回両親の様子を見に訪れ滞在する。
庭先で一緒に野菜を作る親戚の方々、高齢の住人の様子を見に来る近所の方々、週に一度のデイサービスのお迎え。この家にはさまざまな人々が行き交い訪れる。
この地域になじむよう大屋根をかけ、そこに造りだされた軒下で住人や訪れる人達が寛ぎ、活動できればと考えた。大屋根は棟をずらすことにより、南側で勾配をゆるくし、そこに開けられた開口から茶の間とその前にある土間に光を注ぎ入れている。畑での作業の一服に縁側に腰を下ろし御茶を飲み、土間には収穫したものを並べ、訪れた人がベンチに座り、茶の間の住人と会話を楽しむ。そんな様々な行為が軒下で展開されればと考えた。
大屋根には開口やトップライトがいくつか開けられ、大きく出た軒により暗くなりがちな1階部分をやさしく照らすよう階段や吹き抜け、又は中庭を通し光が入る。奥に位置するソファーコーナーには、中庭を通した柔らかい光が拡がり落ち着いた空間を造りだしている。
内部は年老いた住人が車イスでも移動ができるよう、単純な構成とし、水廻りは直列に配置し移動をスムーズにしている。また土間から続く玄関はそのまま寝室へとつながり、デイサービスへの出入りを容易なものとすると共に、来客が寝室の住人と会話を楽しむことが出来る。
2階は大屋根の形をそまま現し、時々訪れる施主夫婦が日常とは違う別荘のような雰囲気を感じられればと、小屋裏のような空間としている。東西に開けられた開口からは、バルコニーを通し、それぞれの山並みにより四季折々の景観が楽しめる。
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