「リヴァプールは夢、レイソルは生活」とはクライアントの言葉。
リヴァプールとは、イングランド・プレミアムリーグの名門チームを指し、レイソルは柏レイソルを指す。家族をあげての熱烈なサッカーファンであり、プレイヤーでもある。
スティーブン・ジェラートらが所属するそのチームのホームスタジアムが
Anfield。レンガ、ガラス、スチールで構成された外観をもつ。クライアントはこの地を訪れるうち、家を建てるならあんな外観にしたい、と考えるようになった。
予算はおよそ1800万円。要望は、中庭があり浴室から直接でられるよう。壁と天井の取り合い部はRをつけたい。隠れ家がほしい、長期優良住宅、サッカーの練習ができる庭が欲しい……
中庭は、高い腰壁に囲まれたバルコニーとなり、浴室から出られるようになっている。2階は約4mの天井高を持つ20畳の一室空間。付随するロフトはご主人の書斎であり、サッカーミュージアムと呼ばれている。
玄関すぐ脇には作業室。これは奥さんがミシンや、電動のこぎりを使って、趣味の工芸をする部屋だ。壁は奥さんの手による漆喰塗りで、アンティーク雑貨が並ぶ。数ヶ月に一度、ここで気の合う仲間と、ワンデイショップを開くのである。
家を建てる動機は様々だ。自分達の愛するチームと共に、この街で暮らしたいという強い意思が、この家をこの予算で完成させた。
元の家もすぐ近くのマンションで、大阪から伺っての打合せだった。しかし当日はレイソルの試合日。500メートル先のスタジアムから歓声が風にのって聞こえてくる。
打合せはしているが、夫妻の心はここにあらず。早めに打合せを切り上げたのも楽しい思い出だ。
レイソルファンのご夫妻。試合の日は打合せしながらも結果が気になる。
柏のアンフィールド