敷地は旧東海道のかつての宿場町にあり、西側は山に囲まれている。そのため日没は早いが、南西から心地よい風が吹く場所である。ここにローコストでありながら、明るく風通しの良い住宅が求められた。
プランはローコストとするため、構造的に無理の無い2間四方の広さのスペースを複数個並べ、あるいは重ね、一部ずらすことで簡潔にまとめた。庭に面するスペースをリビングとし、そこを中心に各スペースを極力分節しないように機能付け、生活できる場所、住宅とした。西側が山に囲まれていても明るい場所とするため、西側にトップライトを設け、その下の2階の廊下をグレーチングで仕上げ、一日中光と影が落ちてくる場所とした。
内装は気分しだいで施主好みにカスタマイズできる自由度が求められた。このためシナベニアを千鳥張りにし目地に強弱をつけてリズムを出すだけに留めた。今後写真などを画鋲でとめ、お子さんの落書きなども加わりどんどん変化していくことと思う。
結果、内装は施主好みに変化していくが、トップライトからの光と影、および吹き抜ける風はいつまでも変わらない快適な住宅になったと考えている。