前方に白山連邦を望む田園地帯というとても贅沢な敷地に建つ住宅である。 この展望をいかに内部に取り入れるか、その中で風景になじむ外観デザイン、施主が望む家事動線の確保が設計の重要なテーマとして設けられた。 建物の配置は景色に向かって間口を広げるあり方が最も良い事は容易に想像がついたが、建物プロポーション・動線計画に関しては最後まで頭を悩ませた。最終的にまとまったのは、 建物正面は換気用の窓以外は設置せず出来る限り単純な構成とし、景色に開いた南面に開口部を集める形。単調な建物とならないよう、長方形のヴォリュームを上下階でずらして設置することでリズムを与えた。リビングには壁に引き込み全開する大きな木製建具を設置し、その正面、景色に向かう特等席にキッチンを設置している。キッチン横すぐに収納スペースを計画することで、冷蔵庫等はキッチンの脇にひっそりと隠している。この隠れた収納スペースはシューズクロークを通り玄関へと繋がり、家事動線として便利に機能する。 四季に応じて移り変わる風景の中、建築がその中でどのような振る舞い方をすべきかを考えさせられたプロジェクトである。